2018-06

book

西澤保彦, 死者は黄泉が得る

西澤保彦お得意のアメリカ舞台のSF風味ミステリ。恋愛話も書き込まれており、パズラー以外にも楽しめる。 最後の一行のどんでん返しを読んでも「ほぅ」で終わらず、もう一度筋を追い直して真実を考え直さなければいけない深さがある。
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ダニエル・スミス(著), 小野智子+片山美佳子(訳), 絶対に行けない世界の非公開区域99 ガザの地下トンネルから女王の寝室まで

さまざまな理由で立ち入りができない場所を集めたネタ本。著者がイギリス人ということもあり、ややイギリスやヨーロッパの比率が高めか。 セキュリティや国防上の理由、紛争地域、宗教がらみ、所在地不明など理由は様々だが、どれも興味をそそられるものばかり。さすがに著者も立ち入りの調査はしていないようだが、関係する写真も多く、眺めているだけでも楽しい。
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元永知宏, 殴られて野球はうまくなる!?

野球界、特に高校野球を中心に蔓延している暴力に踏み込んだドキュメンタリ。その暴力の功罪を様々な側面から描いている良書。 まずは強豪野球部で日常的に暴力が振るわれている実態を著者自身の体験と経験者へのインタビューから暴き出す。特に能力のある新入生が真っ先に狙われる実態など、暴力を振るう側にそうさせるインセンティブがある構造も見えてくる。 一方で少ないながらも肯定的な意見も取り上げられている。私は肯首できないが、愛のある暴力は暴力ではないと本気で信じている人々がいるのも伺える。彼...
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ツノダ姉妹, 喜婚男と避婚男

著者はマーケティング畑の人。バブル世代の匂いがするのは意図的なマーケティングの成果か。 現代の男性を幸せな結婚生活をアピールする喜婚男と結婚から逃避して一人暮らしを満喫する避婚男に分類しているが、エビデンスや量的な分析は一切なし。
comic

押切蓮介, ハイスコアガール (8)

ついに山場の女の闘い。この本当にいいシーンで、マニアックな格ゲーの攻防を手を抜かずに打ち込んでくるのはこのマンガの真骨頂と言えると思う。
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ルイズ・アームストロング(文), ビル・バッソ(絵), 佐和隆光(訳), 続・レモンをお金にかえる法

レモンをお金にかえる法の続編。 前回の経営学から打って変わって経済学のお話。インフレと不況の発生メカニズムとその対処法が主題。ケインズ主義の立場からの対策のみだが、巻末の解説で訳者がその限界にきちんと触れているのは良心的。